こんにちは。
中国の新幹線(=高鉄)がいよいよ香港まで乗り入れました。
これで香港中心部から中国の深センまではわずか14分、さらにその先の中国各地まで乗換なしで移動することが出来る様になります。
今回はそんな香港新幹線を実際に乗車してみて、初めてわかった注意点や感想をご紹介したいと思います。
香港新幹線とは
実はこれまでも香港(ホンハム)と広州東駅を結ぶ「九広鉄路直通列車」があったのですが、新幹線ではなく日本の特急列車にあたる動車とよばれるタイプだったため、約2時間ほど掛かり、あまりメジャーな移動方法ではありませんでした。
そんな中、香港新幹線は2018年9月23日、これまで広州から深セン北駅まで結んでいた広深高速鉄道が香港まで伸びたことで開通しました。
香港から深センまではわずか14分、広州までは約50分とこれまでと比べ大幅に短縮。列車のほとんどは香港⇔広州間の運行ですが、一部はその先の中国各地まで結んでいます。
料金は普通席で香港から深セン(福田)まで78香港ドル(≒1100円)、広州南までは247香港ドル(≒3000円)とこれまで2時間掛かっていた直通列車の金額がうれしい据え置き価格!です。
チケットの買い方は?
チケット購入は、他の中国高鉄と同様にネットで簡単に予約ができます。
ただし日本の新幹線と異なり、チケットの受け取りに乗車駅でパスポートを提示する必要があるので、チケットの購入方法はこちらの記事にまとめていますのでご参考下さい。
西九龍駅の場所は?
新しく設けられた西九龍駅は香港の中心部、九龍半島の海沿いに位置しています。
エアポート・エクスプレスやMRTの九龍駅に直結、マカオ方面のフェリーターミナル「海港城」も徒歩圏内と、香港空港やマカオからのアクセスも容易な場所です。
空港ターミナルの様な駅ビルは、地上3階〜地下5階になっていて、ホームがあるのは地下4階です。なので、駅到着後に列車に乗るにはどんどん地下に進んで行く形となります。
1階から改札待合のある地下3階までは大きな吹き抜けで、これからそこに進んで行く様子ががよくわかりますよ。
乗車までの流れは?
中国の高鉄は日本の新幹線とは違って、出発時刻までにホームに行けば乗車出来るわけでは無く、飛行機に乗る様に手荷物検査やら、改札やらでかなり手間が掛かります。
また、香港から中国に移動するには「出入国審査」があり、香港新幹線ではこの出入国審査の手続きが香港西九龍駅の一ヶ所で全部出来てしまいます。
駅到着から乗車までの流れは以下の通り。
①駅到着
②きっぷの購入(事前にネット予約をしていればここは短縮)
③チケットのチェックゲート(改札ではありません)
④手荷物検査その1
⑤香港の出国審査
⑥免税ゾーンの通過
⑦中国の入国審査
⑧手荷物検査その2
⑨改札フロアに到着後、待合待機
⑩改札からホームへ移動して乗車
これを見ると結構手間がかかりそうですね・・・
それでは、それぞれ詳しく見てゆきましょう。
①駅到着
1階(グランドフロア)が駅の玄関です。
出発前の地下1階と地下2階は、飲食店が立ち並ぶ商業エリアなっています。出発改札を抜けてしまうと乗車までめぼしい飲食店が無いので、出発前の腹ごしらえはこちらで済ませましょう。また、屋上の「天空回廊」からは香港島が一望できるので、お時間があればどうぞ。
②きっぷの購入
中国高鉄名物?のチケット購入の為の長蛇の列。
きっぷの予約が無い場合と、ネット予約では並ぶレーンが違うので、事前予約をおすすめします。チケット受け取りの際にはパスポートの提示が必要なので用意しましょう。
③チケットのチェックゲート
いよいろホームに向けて移動開始、ここから先はきっぷを持っている人しか進めません。
ちなみに列車出発の45前にはこちらからの入場が締め切られてしまうのでご注意を。実際にこの先乗車までかなり時間が掛かるので、余裕を持った行動をしましょう。
④手荷物検査その1
香港側の手荷物検査、空港のX線検査と同様にかなり厳しいチェックがあります。
その後エスカレーターで地下3階へ移動。
⑤香港の出国審査
まずは香港側の出国手続き、外国人は有人窓口に向かいます。こちらも空港同様に将来的には顔認証の自動化ゲートになるかもしれませんね。
⑥免税エリアの通過
香港と中国の間の通路約100メートルは免税エリアとなっていて、空港同様にお酒やだばこなどの免税品が売られています。
ココの最大の見どころは国境の床に書いてある「黄色い線」です。
香港にいながら中国当局の管轄内となる場所で、香港にいながら中国の法律が適用されるとあって、一部香港人に波紋を巻き起こした「いわくつき」の場所に注目して通過してみては。
⑦中国の入国審査
続いて中国の入国審査です。
こちらも外国人は有人ゲートを利用するのですが、2018年現在中国入国には指紋採取が有必要なので、初めて中国に入国する人は事前に指紋チェックを行うキヨスクに登録が必要です。(ただセンサーの読み取りが悪く、反応しなかった人間は、そのまま審査ゲートに進んでも問題ありませんでした)
⑧荷物検査その2
最後に中国側の荷物検査です。
こちらは自分でX線センサーに荷物を乗せて通過する形式で、はっきり言ってユルユルです。
⑨改札フロアに到着後、待合待機
晴れて改札前の待合エリアに到着です。この日は比較的空いていましたが、それでも③のチケットゲートからなんやかんやで小1時間は掛かりました。
中国高鉄は出発の10〜15分前の改札時間が来るまでホームに降りることが出来ず、呼び出しがあるまで待合エリアで待つことになります。
待合エリアにはある程度の椅子がありますが、乗客に対して十分とは言えず空いている椅子の争奪戦になっています。ただし、1等以上の乗客はエレベータで1つ上に上がったラウンジが利用出来ます。また、喫煙コーナーもこの改札フロアにあります。
⑩待合から改札を通ってホームへ移動
出発の10〜15分前になると、改札に係がやってきて列を作り始めます。その後、改札を通り地下4階のプラットホームへ進み、列車に乗車となります。
中国高鉄は日本のように親切な出発アナウンスやチャイムが無く、時間がくるとドアがしまってしまいます。写真を撮っていたら乗れなかったなんで事にならない様にご注意下さい。
以上が駅到着から列車乗車までの流れです。
やっぱり日本の新幹線と比べるとめんどくさいですね。
車内を日本の新幹線と比べると・・・
列車は全指定で自由席はありません。2等、1等そして商務等の3ランクとなっていて、8両と16両編成の2タイプがあります。
一番スタンダードな2等車が日本の新幹線と同じ2x3列シート、1等がグリーン車と同じ2x2の配席になります。
日本の新幹線と比べると座席の広さや幅は同じですが、シートの作りや車内のインテリアが若干安っぽい作りに感じます。今回は1等に乗ったのですが、シートが固く座り心地はイマイチでした。また、トイレが商務車以外は中国式(いわゆる和式タイプ)なのも、少しがっかりです。
今回は利用出来ませんでしたが、日本のグランクラスに当たる商務席はこちら。
なんでもフルフラットになるそうです。機会があれば是非利用してみたいものです(^^)
実際に乗ってみた感想と注意点
今回は西香港駅から広州南駅までの乗車でした。
香港を出発すると深セン北まではずっと地下区間を走ります。その後中国に入ると地上に出ますが、最高速度は300km強と高鉄の一般的な速度より少し遅い印象です。
利用した感想で気づいた事は3つあります。
- チケットはネットで事前予約が便利
- 出発時刻の1時間前には駅についていないと間に合わない恐れがある
- 香港の駅で香港と中国の出入国が一度に出来るのは便利
まだ開業したばかりで、駅構内の人の動きやスタッフも慣れていないので、余計に時間が掛かっている印象ですが、今後さらに中国各地へ向かう列車なども増える事で、ますます便利になってゆくはずです。
以上、香港新幹線の乗車方法と気づいた事でした。